南海トラフ地震や首都直下型地震などの巨大地震発生が引き続き懸念される今、防災意識を高め、
補助金などの制度を活用して住宅の耐震化に取り組むべきです。
今回のブログでは、住宅の耐震化の最初のステップである耐震診断について詳しく解説します。
耐震診断とは?
耐震診断とは、
既存の建築物の構造強度を調査し、将来発生し得る地震に対する耐震性を評価し、建物の被害程度を数値的に把握する作業のことです。
言葉は聞いたことがあるが、実際に何をするのか?疑問をお持ちの方も多いでしょう。
今回は、主に用いられる二つの方法、「一般診断法」と「精密診断法」の違いについてご紹介します。
目視を中心とした診断:一般診断法
一般診断法は、住宅の外観や軒下、天井裏の非破壊での目視による診断法です。
建物の外側と内側を目で見て耐震性を診断します。稀に部分的な解体調査が必要な場合もあります。
診断の際には住宅の図面を参考にします。
図面がない場合は寸法を測り、簡易的な図面を作成する必要があります。
その分、時間と費用がかかることがあります。
図面がある場合でも、建物の仕様や診断に有効な情報
(壁の中の筋かいや補強材の有無、天井や屋根裏の耐震性を高める材料、基礎に鉄筋が入っているかなど)
が記載されていなければ正確な診断は難しいです。そのような場合、非破壊検査を行って判断します。
一般診断法にかかる時間は、
『一般財団法人 日本建築防災協会の研修マニュアル』で、2~3時間程度とされています。
四分割法という計算方法を用いて耐震強度を評価します。
内部構造まで詳細に確認する:精密診断法
精密診断法は、一般診断法が目視中心であるのに対して、必要に応じて壁や天井を剥がし内部の構造を確認する詳細な診断です。
一時的に破壊した箇所は後に補修します。診断には半日から1日程度かかります。
精密診断法では、日本建築防災協会が認定する計算ソフトを使用し、建物全体の耐力壁や水平剛性、劣化状況を評価して保有耐力を算出します。
一般診断法と精密診断法のメリット・デメリット
一般診断法のメリット
- 低コスト 一般診断法は精密診断法に比べて費用が安く済みます。
- 短時間での診断 診断にかかる時間が短く、通常2~3時間程度で完了します。
- 非破壊検査 基本的に建物の一部を壊すことなく診断を行うため、住みながらの診断が可能です。
一般診断法のデメリット
- 精度が低い 目視を中心とした診断のため、詳細な内部構造の確認ができない場合があります。
- 図面が必要 住宅の図面がない場合、簡易的な図面を作成する必要があり、追加の時間と費用がかかることがあります。
精密診断法のメリット
- 高精度 内部構造を詳細に確認するため、より精度の高い結果が得られます。
- 詳細な診断 壁や天井を剥がして内部構造を確認するため、建物全体の耐震性を正確に評価できます。
精密診断法のデメリット
- 高コスト 一般診断法に比べて費用が高くなります。
- 時間がかかる 半日から1日程度の作業時間が必要です。
- 一部破壊検査 壁や天井を剥がすため、住みながらの診断が難しい場合があります。
耐震診断の対象と補助金制度
全国ほとんどの自治体で、耐震診断を対象とした補助金制度があります。
自治体によって条件や補助金の額は異なりますが、事前に確認することが重要です。
以下に、補助金制度の一般的な流れを説明します。
補助金制度の利用手順
- 自治体の確認 まずは、お住まいの自治体の窓口で補助金制度の詳細を確認します。自治体ごとに異なるため、ホームページや窓口での相談が必要です。
- 申請書の提出 補助金を利用するための申請書を提出します。申請書には、耐震診断の実施計画や見積書などが必要です。
- 耐震診断の実施 補助金が認可され次第、耐震診断を実施します。診断結果に基づき、耐震補強工事の計画を立てます。
- 補助金の受領 耐震診断の結果と補強工事の計画が認可されると、補助金が支給されます。
補助金の種類
- 耐震診断補助金 耐震診断の費用を一部補助します。多くの場合、診断費用の50%~100%を補助する自治体が多いです。
- 耐震改修補助金 耐震補強工事の費用を一部補助します。補強工事の内容や費用に応じて補助金の額が変わります。
- 設計費補助金 耐震補強工事の設計費用を補助します。設計費用の一部を補助する自治体もあります。
補助金利用の注意点
- 事前確認が必要 補助金制度は自治体ごとに異なるため、事前に詳細を確認することが重要です。
- 申請期限に注意 補助金の申請期限がありますので、早めに手続きを進めることが必要です。
- 必要書類の準備 申請には多くの書類が必要となります。事前に必要な書類を確認し、準備を進めましょう。
耐震診断の具体的な手順
ステップ1:初回相談
まずは、専門家との初回相談から始まります。
耐震診断を依頼するための初回相談では、建物の状況や診断の流れ、費用などについて説明を受けます。
ステップ2:現地調査
専門家が実際に建物を訪問し、現地調査を行います。建物の外観や内装を確認し、必要な情報を収集します。
現地調査では、建物の図面や過去の修繕履歴なども参考にします。
ステップ3:耐震診断の実施
現地調査の結果に基づき、一般診断法または精密診断法を選択して耐震診断を実施します。
診断の際には、建物の劣化状況や構造の状態を詳しく調査します。
ステップ4:診断結果の報告
診断結果が出たら、専門家から報告を受けます。
診断結果には、建物の耐震性の評価や改善点、補強工事の必要性などが含まれます。
報告書には、診断に使用した計算方法や根拠も記載されます。
ステップ5:耐震補強計画の立案
診断結果に基づき、耐震補強計画を立案します。
補強工事の内容やスケジュール、費用などを詳細に計画します。
補強工事の内容は、建物の構造や劣化状況に応じて異なります。
ステップ6:補強工事の実施
補強計画が決定したら、実際に補強工事を行います。
工事期間中は、一部の住み替えが必要になる場合もありますが、多くの工事は短期間で完了します。
ステップ7:工事完了後の確認
補強工事が完了したら、専門家が最終確認を行います。
工事の品質や効果を確認し、必要に応じて調整や補修を行います。
最終確認が完了したら、耐震診断と補強工事の全工程が終了となります。
まとめ
耐震診断は住宅の耐震化の第一歩です。
一般診断法と精密診断法の違いを理解し、適切な診断方法を選んでください。
補助金を活用し、安心・安全な住まいづくりを進めましょう。
耐震診断や補助金についてご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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