家の耐震性能

家の耐震性を評価する基準として「耐震等級」があります。

家を建てる時や購入する際には、ぜひ参考にしてください。

 

耐震等級とは、地震に対する建物の強さを示す指標です。

これは「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいています。

耐震等級は、地震が起きた際に建物がどれくらい耐えられるか、地震に強い建物かどうかを判断するためのものです。

 

耐震等級は建物の耐震性に応じて3つのランクに分けられています。

数字が大きいほど耐震性が高く、1より22より3の方が優れています。最高ランクは等級3です。

 

「耐震等級1」は、最も低いランクです。

 建築基準法では耐震基準が設けられており、住宅などの建物を建てる際には、この基準を満たさなければなりません。

 耐震等級1は、この建築基準法で定められた最低限の耐震性能を持っています。

  耐震等級1震度6~7の地震に1度は耐えられる耐震性があります。

 ただし、即座に倒壊したり崩壊したりすることはありませんが、その後大規模な修繕や住み替えが必要になる可能性があります。

 

「耐震等級2」は、耐震等級1の1.25倍の耐震性を持つ建物です。

 震度67の地震にも耐えられるため、その後も一部の補修で生活を続けられる可能性が高いです。

 耐震等級2に分類された建物は、長期優良住宅として認定されます。

 また、災害時に避難場所となる体育館や学校、病院などには耐震等級2以上が求められています。

 

「耐震等級3」は最高ランクで、耐震等級1の1.5倍の耐震性を持ち、震度67の地震にも耐えられます。

 その後も一部の軽微な修繕のみで暮らせるとされています。

 警察署や消防署などの重要な公共施設には、この耐震等級3が求められます。

 

耐震等級の評価がない家

 新耐震基準は198161日に定められているので、

 これ以降に建てられた家は少なくとも耐震等級1の強度があります。

 住宅性能表示制度は評価書の取得を義務付けていないため、

 評価を受けていない建物もあり、耐震等級がはっきりしない場合もあります。

 

 

〇 家の耐震性を向上させる方法

 

 1. 建物を軽くする:建物が軽いと地震の揺れ幅が小さくなり、ダメージが少なくなります。

 2. 耐力壁を増やす:耐力壁は地震や風に対する強度を増すため、バランスよく配置することが重要です。

 3. 耐震設備をバランスよく配置する:耐力壁や耐震金物をバランスよく配置することで、全体の耐震性が高まります。

 4. 床の耐震性を上げる:壁だけでなく床の耐震性も重要です。床がしっかりしていることで、地震の揺れによるダメージを軽減できます。

 

 

〇 耐震等級のメリットとデメリット

 

<メリット>

  ・ 地震に対する安心感がある

 ・ 地震保険料が安くなる

 ・ 住宅ローンの金利が安くなる場合がある

 

<デメリット> 

 ・ 耐震等級の評価を受けるために費用がかかる

 ・ 等級が高いほど、壁や柱が増え、コストが高くなる

 

 

〇 「相当」は注意が必要!!

 耐震等級についての表記で「等級〇相当」という言葉をよく聞きますね。

 この「相当」には2つのタイプがあります。

 まず、信頼ある相当」は構造計算を行い耐震性を確認しているものの、評価申請をしていない場合です。

 そして、「不安な相当」は耐力壁の量から推測された等級の相当です。

 家族の幸せを守る家ですから、「本当に気を付けて!」と言いたいですね。

 

 「相当」の信用性を確認する方法は1つだけです。

 「この家は許容応力度計算をしていますか?」と尋ねることです。

 

 

〇 家の構造設計方法

 木造住宅の構造計算について、簡単に説明します。

 実は、日本で建てられているほぼ80%の木造住宅は構造計算がされていないんですよ。

 なぜかって?面積規模で500㎡以下、木造の2階建て以下の木造建築は確認申請で構造計算が義務化されていないからです。

 (2025年の改正で200㎡以下に変更になります。)

 

 では、一般的な設計手法をお話しすると、

 建築基準法の仕様規定に基づいた「壁量計算」で簡易計算を行います。

 この仕様規定を守ることで、最低限の住宅性能が確保されるんですよ。

 これが「耐震等級1」となります。

 

 「耐震等級23」は構造計算により安全性を確認しています。

 構造計算とは家の自重や地震力など様々な力に対する抵抗力を計算し、安全性を確認するものです。

 そして、構造計算には「許容応力度計算」または「許容応力度等計算」が使われます。

 「許容応力度計算」は材料の抵抗力を確認し、「許容応力度等計算」材料の変形を確認します。

 

 構造計算しても注意すべきことがあります。それは地盤です。

 構造計算は水平方向の力に対してのみ検討します。

 活断層や地滑りなどで縦の力が加わる場合は、他の対策が必要です。

 だから、土地選びも重要な要素となります。

 

 私たちは皆さんが安心して暮らせる家に住んでいただきたいと願っていますので、必ず構造計算を行います。

 構造計算をして科学的に安全性を検証した家に住めば、家族の命や生活も守れる確率が高くなるでしょう。

 

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