枠組壁工法と在来工法
これからの家づくりでよく耳にする言葉のひとつが、工法です。
工法ごとにそれぞれ特徴があります。
皆さんがどちらの工法が最適かを判断する際の参考になるかもしれませんので、
工法ごとの特徴や住まいに必要な性能についても知っていただきたいと思います。
工法の説明
〇 枠組壁工法
通称、木造枠組工法や2×4(ツーバイフォー)工法と呼ばれています。
2×4インチなどの国際規格に基づいた枠材に合板などの面材を組み合わせて壁や床を作り、
床+天井+壁4面=6面体の箱のような構造で建物を支えるのが特徴です。
比較的簡単でかつ短期間で完成することができます。
さらに、この方法で建てられた家は高い耐震性と耐火性を持っていると言われています。
〇 在来工法
在来工法や木造軸組工法と呼ばれています。
この工法は日本の伝統的な工法をもとにした工法です。
寺社仏閣の建築で採用される伝統的な在来工法のほかに、
現在では金物や耐力壁を使用した工法も在来工法の一つです。
在来工法は柱や梁などのフレーム(骨組)で支えることが特徴の工法です。
以前は耐震性や耐火性は枠組壁工法より劣ると言われていましたが、
現在では、同等以上の性能を確保しながら、
自由度の高いプランニングが実現できます。
工法の比較
木造住宅での枠組壁工法と在来工法の違いを見てみましょう。
間取りや将来性については「自由度」。
住宅性能としては「耐震性」「防火性」「断熱性」「防音性」「通気性」で比較しました。
皆さんの判断する参考としてください。
〇 自由度 在来工法>枠組工法
在来工法の方が、自由度は高いです。
間取りや吹抜、外壁や屋根の形状など、皆さんのご希望に近い形を実現できます。
もちろん、和室を設けることや木の香りがする空間を作ることも容易です。
また、将来的な改修などの面でも在来工法はフレキシブル性があります。
〇 耐震性 在来工法=枠組工法
確かに、理論上は箱型の構造体となる枠組壁工法の方が強固であると言われていますが、
実際には、どの工法でも建築基準法で定められた最低限の耐震基準を満たさなければなりません。
したがって、工法では耐震性は変わらないとも言えます。
また、耐震性を評価する際には耐震等級が重要で、
その評価は工法ではなく構造計算方法によって決まります。
この点を考慮することで、耐震性の判断基準を持つことができます。
耐震性を重視する際には、工法だけでなく耐震等級も確認することが重要です。
耐震性については別の機会に詳しく書きたいと思います。
〇 防火性 在来工法=枠組工法
理論的には、確かに箱型(枠組壁工法)の方が火災の広がりを抑えやすいです。
でも、実際の木造住宅の火災に対する安全性は、工法だけでなく、
外壁や屋根、内装材などの防火性能も大切です。
木造住宅の防火性は、全ての材料などで決まりますから、
工法による違いは無いと考えることが出来ます。
建物の防火性能は、建物から他への火の延焼を抑える基準や他からの延焼を防ぐ基準などがあります。
さらに、仕上げや下地といった材料にも不燃性などの基準が存在します。
防火性を考えるときには、工法よりも材料の性能を確認することが大切です。
そうすることで、安心できる快適な住まいを実現することができます。
〇 断熱性 在来工法≒枠組壁工法
一般的に、箱型の住宅である枠組壁工法は、断熱性が高いとされています。
でも、その断熱性には間取りや窓、扉などが大きな影響を与えます。
在来工法の場合、間取りに自由度がありますから、大きな窓などを設置することができます。
そのため、断熱性が劣るとされる大きな窓でも対応できるのです。
ただ、形状や一般的な断熱材を使った家では、
工法の違いでそこまで大きな差はないようです。
断熱性能を重視するときは、断熱等級の確認が大事です。
等級が高いほど、家の中の温度が外の気温に左右されにくくなります。
エアコンなどの設備がある部屋は、快適な室温を保ちやすくなるでしょう。
また、高い断熱性でも、長時間をかけて外気温と室内温度が同じになるから、
冷暖房がない部屋は、暑い日は暑く、寒い日は寒く感じるかもしれません。
快適な住まいを作るには、断熱等級の確認はもちろんですが、
ライフスタイルに合わせ、どこにエアコンなどの設備を設けるかなども、重要です。
〇 遮音性・防音性 在来工法≒枠組壁工法
一般的に、枠組壁工法は、断熱性と同様に音響遮蔽性に優れていると言われます。
やはり、工法よりも性能は壁材・床材や下地材、窓などが大きく関係します。
等級での確認は住まい全体的の判断になります。
趣味の楽器の演奏やホームシアター、カラオケルームなどを設ける場合などは、
建設費を抑えるために、その部屋だけ防音処理を施すことも出来ます。
〇 通気性 在来工法>枠組壁工法
古くからの在来工法は、夏場の暑さに対処するために、通気性の良い住まいが特徴でした。
でも今は、壁内や天井裏などに通気を促す工夫をして、結露を抑えるようにしています。
窓も大きく開けられるので、風通しのいい住まいを実現できます。
一方、枠組壁工法は気密性が高い住まいは、室内での結露などが起こりやすくなるので、
注意が必要です。
まとめ
在来工法は、自由度や将来の拡張・改修に優れています。
建物の性能面では、耐震性や防火性、断熱性、防音性、通気性などが重要ですが、
工法を問わずこれらの性能を向上させることが可能です。
さらに、各基準や規制、助成制度によって必要な性能が定められることもあります。
住まいの性能向上には建設費用が増加しますので、
お客様のライフスタイルや希望に合わせて、最適なアドバイスをさせていただき、
理想の家づくりを実現します。
ご興味やご質問がありましたら、お気軽にご相談ください。
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